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呉善花先生の最近の著作『受け身力』について

新しい本「受け身力」というタイトルの本の内容が講演会で披露されました。質問コーナーがあり、早速、質問しました。

「先生は『うけみ』という音に込めた日本人の言葉の意味をご承知でしょうか?」私の大和言葉の解釈から、「受け身」について、古代の日本人が受け身という日本語が誕生したか説明しました。会場から驚きと賛同のため息が聞こえました。

「先生、『う』は生まれる、『け』は何かが生じるありさま。例えば、お化け、もののけ。『み』は神(かみ)、中身、本質。『受け身』という音には「神様の有り様が生まれる」意味があるのです」

日本人は何事も、受け身姿勢にこそ神が宿るという美意識と認識をしています。すべてが見えない大いなる力が自分の中の神様に働きかけてそうさせていただている。例えば、日本人が結婚式で司会者がこういいます「司会をさせていただきます私は新郎の友人で○○といいます。」日本人以外の外国人なら「私が司会をします○○です」という表現をします。
また、すべての行為「「泥棒に入られました」「家内に逃げられました」というようにすべてを受け身系で表現するのはそのためです。泥棒であさえ、受け身言葉で表現すると、自分が油断したために泥棒さんが家に侵入したというニュアンスが生まれます。他者を一方的に非難しない、追いつめない表現方法が受け身言葉です。『妻にもいろいろ言い分が有るだろうという自分にも落ち度が有るというニュアンスがこの表現には含まれます。「受け身」で有ることが、すばらしい生き方で有ると信じています。しかし、呉先生の指摘されるように、受け身は実は次の展開では攻めになる行為につながるのです。柔道は半年間、受け身ばかりさせられます。受け身こそ命を、自分を守る技術なのです。生き延びれば勝てるチャンスをつかむことができます。身を守ることにこそ日本の武術の極意が有ります。ご先制はこの『受け身力」こそ日本人が災害から復活する原動力になると断言されました。私も受け身言葉こそ老子的な表現だと思います。すべてが陰と陽がつながるのです。受け身が最大の攻撃になる。矛盾しているようですがそうなのです。良寛さんが地震で被災した友人に当てた手紙に次のように書き残しました。
「地震に遭うときは遭うほうがいい。死ぬときに死ぬのがいい。それこそ災いから逃れる妙法である」

柔よく剛を制す。これも受け身力。
戦わないことが勝利する最短の道である。

武蔵も人を殺す剣術を突き進めて、人を生かす活人剣を編み出しました。

老子は「敵を倒そうと思うなら相手を強くしなさい。敵から奪おうと思うなら敵に与えなさい」と述べています。

by masashirou | 2011-06-19 12:56  

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