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森先生の最後の日

今日の特集は、皆既日食でにぎあう屋久島の飛び魚の漁師さんの物語。
師匠と弟子たちの師弟関係は温かな人間関係ですね。
人生でいつまでも緊張感を感じる先生に出会うことは宝物です。
道元禅師の言葉に「極楽は眉毛の上の下がりものみたいなもので,あまり近くにあるので人間はなかなか気付かないものだ」という言葉があります。昼間に太陽が当然存在すると思っていますが、皆既日食を経験すると、本当に太陽の有り難みが痛感します。私の皆既日食経験のお話をします。20世紀最後の皆既日食をみるために1999年夏,英国のロンドンのビクトリア駅から,南西部の港町キングズタウンまでオリエンタル急行列車で素敵なランチを食べながら移動。翌朝キングズタウン市街のホテルを出発。
海岸へ船に乗り換え昼までただ皆既日食まで待ちます。
霧に包まれた海岸を世界中から3000人の観光客がひたすら太陽が完全に消え去る30分の天体ショーを待ちます。
しばらくするとカモメが鳴きはじめます。すると犬たちもけたたましく吠えはじめます。そして草むらの虫たちも騒がしく鳴きはじめます。
霧に包まれた港まちの上空に太陽が欠けはじめます。
霧のために肉眼でも皆既日食の変化を目撃出来ます。やがて街は暗闇に包まれます。肌寒くなり夏なのに思わず腕を摩るほど。酒場で乾杯の叫び声や口笛が静かな海面にこだまします。
太陽が再び姿を現すと、もとの眩しい昼間に戻るのですが、短時間にこの変化を体験するとかなり衝撃を受けるのです。
話は変わりますが、先週、栄光病院で泰星高校生徒120名が参加する終業式のお話をしましたが、昨夜21時30分に森先生があの世の旅たたれました。今日のお昼に皆既日食を見ることを楽しみにされていたそうです。病院からご自宅に出られる時に日食が始まり、見送りの病院の先生たちが欠けていく太陽を見上げながら見送られたそうです。
太陽のように慈愛に満ち、生徒たちと真摯な師弟関係を築かれた先生でした。また、何よりご家族から愛された森先生らしい最後シーンだと思います。42歳でした。
ご冥福をお祈りします。

by masashirou | 2010-05-19 23:16  

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