2010年 04月 25日 ( 1 )

 

位置ゲー「コロプラ」と老子

今話題沸騰のGPSと連動したモバイルゲーム(位置ゲー)というゲームサイトを作った青年は、なんと九州工業大学卒の馬場功淳さんです。彼の理念はまさに老子がIT携帯サイトを運営するならこうしただろうと思わせるほど、老荘思想哲学のゲームだと感心しました。

地方の老舗のお店のお土産商店に実際に出向き、商品を購入すると、GPSが携帯にその場所にいると認識して、ゲームに使用するカードがもらえる特典を得るために、このゲームサイトに登録している100万人のユーザーが、地方の小さな老舗のお店を訪れます。1ヶ月に、15000人が訪れ、2時間で売り上げが50万円にもなるお店も続出しているそうです。日本で、49店舗しか登録されていません。残念な事に、福岡県は0です。九州から熊本と佐賀のお店が各一店舗ずつ登録されています。九州リクルートが福岡空港出発のこのゲームサイトとコラボして北部九州のツアーを開催したところ東京から多くのお客さんが参加したそうです。JR九州とタイアップして、50の駅を巡る周遊券が発売されました。まさに、この家にいてゲーム漬けの若い人をリアルな旅に誘い、お土産を購買させ、歴史的な遺跡を実際に訪れさせるモチベーションの優れたソフトとして様々な業界が注目しています。
このコンセプトが素晴らしいのは、運営がウキペディアのよう寄付で運営されているところです。また、バーチャルな携帯のいわば、あの世の情報宇宙にいた若者をとこの世の物質宇宙に引き込み、リアルでしか味わえない生きる喜びや、人とリアルに繋がりあい、助け合う喜びを、体験させ人を優しい気持ちにして、人が動けば国が繁栄するという経済信念をこのゲームさいとで実証しようという志が凄い点です。久々にこのようなIT技術の創業者が北九州工業大学から輩出した事を郷土の誇りに思います。ぜひ、トップランナーを取材する新番組RKBテレビの「豆ごはん」で取りあげていただきたい九州人です。

著者 : 永井美智子(編集部)対談記事。

 携帯電話の位置情報を使って遊ぶ「位置ゲー」というジャンルのゲームが注目を集めている。ユーザーの現在地や移動距離などに応じてゲーム内のアイテムや通貨が獲得できるというもので、いつでも持ち歩ける携帯電話の特性をうまく生かしたジャンルといえるだろう。

 この位置ゲーの最古参企業で、位置ゲーというジャンル名を名付けたのが「コロニーな生活☆PLUS」(略称:コロプラ)という携帯電話向けの無料ゲームを提供しているコロプラだ。ユーザーは移動距離に応じてゲーム内通貨をためたり、位置によって異なるゲーム内アイテムを獲得したりしながら、コロニーと呼ばれる島を育てていく。

 もともとはコロプラ代表取締役の馬場功淳氏が個人で運営していたサービスだが、サービスの拡大に伴って2008年10月に法人化。現在は毎月20%超の成長を続けており、2009年5月末現在で利用ユーザー数は20万人、(注;2010年4月では登録ユーザーが100万人を突破)月間ページビューは2億8000万PVにのぼるという。ユーザーの7割以上が20代~40代で、10代~20代のユーザーが多いモバイルサービスの中では異色の存在とも言える。

 主な収益源は寄付、メールアドレスを含むユーザーの個人情報を一切取得しないのがポリシーという点も、既存のモバイルサービスとは一線を画している。

 コロニーな生活☆PLUSはどのようにして生まれたのか、また、今後どのような事業展開を描いているのか。馬場氏に話を聞いた。

――2003年ごろから位置ゲーを運営していると聞きました。
コロプラ代表取締役の馬場功淳氏 コロニーな生活☆PLUSの前身で「コロニーな生活」(略称:コロニナ)というコンテンツが始まりです。2003年5月、DDIポケット(現:ウィルコム)のAirH" PHONEが出たときに、家のサーバ1台を使って無料でサービスを開始しました。

 なぜそれを作ったかというと、AirH" PHONEという端末は当時すごく先進的で、パケット定額でなおかつ位置情報が取れたんです。今だと当たり前の機能ですが、それが6年前にあった。

 当時、私は九州工業大学というところにいて、KLabの「大学前ケータイラボ」というところに参加して、iアプリをいろいろ作っていました。それが楽しくなってしまって、大学院を辞めることにしたときに、家にサーバを置いたんです。

 自分しかそのサーバにアクセスしないのもつまらないので、何かやろうかなと思っていたら、ちょうどAirH" PHONEが発売された。今まで懸案だったパケット料金の問題が解消されて、なおかつユーザーの位置が取れる。携帯電話の一番の価値は人と共に動く、常に持ち歩いているということにあるとずっと思っていたので、これを使って何かできないかと考えました。

「コロニーな生活☆PLUS」 そのとき、徐々に成長するものが面白いと感じていたので、携帯電話で街を作るゲームがあるときっと面白いだろうと思いついたんです。どこでも(成長を)確認できるから、携帯電話との親和性は高いですし、位置というキーワードも、例えば街が自分と共に移動して動くと面白いんじゃないか。でも街は動かないから、「浮かんでいる街」ということで、コロニーはどうかな、と。

 動いたら何が楽しいんだということについては、インターネットは世界中の人とつながれるものだけれども、逆にそれを制限したら面白いんじゃないかなと考えました。ゲームって「罰」と「報酬」から成り立つので、それをストレスとして与えれば、偶然の出会いが面白くなるんじゃないか――それで、近くの人だけに交信ができるモデルを作ったんです。

 初めはすごく反対されて、「何か良いことをされても(相手が移動してしまえば)お礼も言えないじゃないか」などとずっと言われていたんですけど、「僕はそのほうが面白いと思うんで」と言って頑なにやっていた。そうすると、ユーザーも「たまに会えた」とか、「こんなところで会えた」ということが楽しみになってくる。つまり、一期一会という状況です。それがサイト上でコロニナの中で再現できたのかなと思います。

――最初からコンセプトを固めていたんですね。
 きっちり固めていました。若かったんですね、考える余裕があった(笑)。

――コロニーな生活☆PLUSでは、コロニーを育てるためにユーザーが自然に助け合う文化ができています。これは何か運営側で仕掛けたのですか。
 それは100%狙っていたわけではないんです。最初に苦労してコロニーを維持したユーザーの方が残ってくださっているので、入ってきたばかりの人はご近所さんだし助けなきゃいけない、というのが自然に起こって、そういう文化が生まれました。

「資源満タン」を押すとコロニーを育てるのに必要な「食料」「酸素」「水分」をほかのユーザーにあげることができる。また、掲示板ではユーザーの名前ではなく、コロニーのID番号が表示される 僕は、それを手助けするだけで、例えば、資源の足りないユーザーの画面には「満タン」ボタンを付けて、ほかのユーザーが簡単に補給できるようにしたとか、初心者だとわかるようなマークを付けたりとか、事あるごとに「初心者の皆さんには優しくしましょう」と訴えたりとか。ただ、基本的にみんないい人なんだなと思います。

 あとは、コロプラという匿名の仮想世界でも、地域感や社会感が出てくるので、人のいい部分が出やすいのかなと思います。コロニーには完全にIDが付けられていて、番号は変わらないんです。例えば、ニックネームだとニックネームが変わると別人っぽくなりますよね。でもコロプラだと不変のIDが付いているので、変なことをするとそれは噂として回る。本当に社会の縮図的な構成になったので、それが抑止力として働いて、悪いことはできない、いいことをしましょうという文化になっているんじゃないかなと思っています。

 ただ、それも狙ったわけではないんです。なぜコロニー番号を採用したかというと、個人情報を一切取りたくなかったんです。位置情報という、あまり他人に見られたくないものを扱うので、逆にほかの個人情報は一切取らない方針を採っています。登録にメールアドレスも取りませんし、そもそもユーザープロフィールもない。ニックネームを自分で名付けるところもない。ニックネームは、何か自分と紐づけた名前を付けてしまいがちなので、見る人が見ればわかってしまう場合があるんですよね。要するにコロプラは、ユーザーが自分自身を主張するものは一切許さないという立ち位置を取っているんです。

 ユーザーのメールアドレスを持っていないので、メール配信も一切していません。そうなると、コンテンツ自体のおもしろさで人を引きつけるしかないので、そこには気を遣っています。例えば、コロニーにときどき隕石が降ってくるので、「隕石が降っていないかな」と心配するような仕掛けです。

――その場所にいる人同士しかコミュニケーションを取れない、という、場所に縛られることで生まれた良い影響というものがありますか。
 運用側から見ると、「世界を小さくできる」ということがあります。例えば、部活の試合って、他校戦、地域戦、都道府県戦、全国戦という構造になっていますよね。よく「俺は県で3位なんだよ」という言い方をしますが、それができるのは「地域」という小さな世界があるからなんですね。そういうのはヒーローを生みやすい。例えば、県大会では全然駄目だとしても、その地域では1番になれる。そうやってヒーローが生まれやすいと、それを目指す人も増えるし、「この“中毒者”には勝てないな」みたいなものがなくなってくる。

――ユーザーはどこで競い合っているんですか。
 何となく雰囲気ですね。「俺はコロニー内の人口が一番だし」とか、「俺は一番お金を持っているし」「地域でよく慕われているし」みたいなものがヒーローになる。

 ただ、コロプラは競争要素を一切なくしているんです。ランキングすらなくて、それは狙ってやっています。楽しみ方をそこに縛り付けてしまうので良くないなと思って、あえて外しました。

――ビジネス面についても教えてください。
 現在はユーザーからの寄付、ECサイトのアフィリエイト広告、モバイルサイトなどに登録させるアフィリエイト広告の3つが収益源になっています。あとは、スポンサー契約をしてゲーム内のお土産アイテムを追加するという試みをしているところです。ただ、これだけでは1カ月1億円売り上げるのが精いっぱいという予測も持っています。

 なので、もっと幅を広げて、位置と連動した広告を提供していきたいと思っています。企業目標として「人が動くと日本が元気になる」――人が動くとそこに消費が生まれて地域も潤うし、行った人も楽しい。コロプラはその動機づけになればいいかなと思っています。それで、その地域活性にかかわる部分で「われわれにも少し下さい」という形で収益を上げていければいいなと思っています。

――現時点ではどの収益が一番大きいですか。
 われわれは「投げ銭」と呼んでいるんですが、ユーザーからの寄付の割合がほとんどです。広告の収入は電気代や家賃代くらいにしかなっていないです(苦笑)。

 ただ、投げ銭を増やすためにはユーザーに本当に喜んでもらわないといけないので、より楽しく、より熱中していただけるものをいかに早く出して、満足してもらうかが重要だと思っています。

――石田屋の日光甚五郎煎餅と組んだキャンペーンを3月から展開していましたね。
ゲーム内の限定アイテム「日光甚五郎煎餅」 創業101年という、素晴らしい老舗のお煎餅屋さんです。日光甚五郎煎餅というお煎餅をゲーム内のお土産アイテムとして追加して、店舗の半径1キロ以内でしか取得できないように設定しました。ユーザーには頑張って日光に行っていただく。お土産の画面にはクーポンが付いていて、これを見せればお店で実際にお煎餅がもらえます。また、コロプラユーザ様専用お得パックという、通常より安いお煎餅パックで、コロプラの特製シールが貼ってあるものも販売されました。これは先方の担当の方がコロプラを1年も使って下さっている熱烈なファンだったことから実現しました。

 お土産アイテムはほかのユーザーと交換するものなので、お煎餅の認知は間違いなく広がるんです。「日光といえば甚五郎煎餅」というのが、コロプラ上で広がりますし、実際にお煎餅を買って帰った人が地元で配れば、それも口コミにもなります。

 3月からの2カ月間で1000人以上のユーザーが石田屋本店を訪れました。実証実験的な部分もあったので、アイテムが無制限に買えてしまうなどの反省点はあるのですが、石田屋さんには非常にご満足いだけました。お店の方がとても親切だったということもあり、ユーザーからは「行ってよかった」という言葉しかなかったですね。

――6月8日には、石田屋を含む老舗4社と組んだ「スポンサーお土産」というサービスも始めました。
 老舗にこだわったわけではないのですが、ユーザーに紹介する以上、知られていないけれども良い物というのを選んで、趣旨に賛同していただいたのが4社だったということです。

 18時くらいまでしか空いていないにもかかわらず、3日間で200人くらいのユーザーが現地を訪れたそうです。今後は、現地でしか買えないような商品を扱っているところを中心に、200社くらいスポンサーが付けばと思っています。1年後から収益化していければいいなと。

――実際に店舗で買い物をしないと手に入らないプラスチックカード「コロカ」を配るそうですね。
 旅の思い出になるように、しっかりしたつくりのものにしました。コロカの右上には地図が書かれていて、どこに行ったかがわかるようになっています。

 同時に、サイト上でもどのコロカを手に入れたかが表示されるようになっているので、将来的にはこれを使ってゲームをするようなことがあってもいいかな、とは思っています。コロプラの世界観の中でできるといいですね。

――法人化の経緯も聞かせてください(編集部注:コロプラは2008年10月に設立)。馬場さんは一時期、グリーに勤務していたと聞きました。
 グリーでアイテム課金を軸とした無料ゲームを提供している中で、ハタと「俺ってこういうコンテンツを持ってなかったっけ」と思って、コロプラに「サイトに登録するとアイテムがもらえます」というアフィリエイトの仕組みを導入してみたんです。そうしたら割とすごい収入があって、「あれれ、俺のコンテンツはこんな力を持っていたんだ」と。

 それであれば、ちょっと頑張ってみようかなということで、グリーに勤務しながら一生懸命コロプラも運用していたんですが、さすがに、ユーザーから直接ではないにしろお金をいただいたので、ちゃんとしないといけないな、と。

 グリーで働いていたときには、例えば夜12時に帰ってきて、そこからメールサポートなどをして4時ぐらいに終わって、寝て、また朝起きて会社に行くという生活をずっと繰り返していたんですが、自分が頑張れば頑張るほどやっぱりサイトは盛り上がってくるんです。非常にいい循環になって、サイトの規模が大きくなってきたので、さすがにもう限界だ、ということになりました。

 グリーは大好きだったんですが、このままコロプラを会社に行きながら運用するのは無理だし、ユーザーにもすごく失礼だなと思ったので、2008年の半ばに退職して、しばらくは個人事業主として運営していました。1人でマンションを借りて、そこにサーバを置いて、朝から夜までつきっきりでやっていました。

 ただ、ユーザー数もどんどん伸びてきて、24時間かけても対応が終わらなくなってきたので、「もう会社をつくって、ちゃんと運用するサイトをつくらないとやっぱりユーザーに失礼だ」と思いました。収益もそれなりに上がっていたので、暮らしていくには問題がなかったんですが、法人化してちゃんと運用できる体制を作らないといけないと考え、2008年10月1日に会社を設立しました。

――会社としては、コロプラをどういうものにしていきたいと思っていますか。
 端的に言って、せっかく作ったのでいい会社にしたいなと思っています。じゃあ、いい会社って何ですかというと、いろいろ考えたんですが、3つあると思うんです。順番は決まっていて、1番目は使ってくれるユーザーが幸せになること。2番目が、それを生み出す従業員、我々が幸せになること。最後の3番目が、株主が幸せになること。これがいい会社の定義だなと思っていて、逆の順番ではありません。

 ユーザーが楽しくないと我々もハッピーにならない、我々がハッピーにならないと、株主さんも当然ハッピーになれない。当然、株主は収益を求めると思うのですが、この順番を間違えると企業って間違っていくんだろうなと思っていて、逆にこの順番が保たれて、この3つの条件を維持していれば、きっとそれはいい会社になると思います。

――上場についての考えは。
 今のところ、自己資金で回っているので、特別考えているわけではありません。状況次第だと思っています。

――将来の規模のイメージを教えてください。
 コロプラを大きくしたいですね。会社は別に大きくしたいわけではないですが、サービスが大きくなるに従って、従業員も必要になってくるだろうなと思っています。コロプラを知っている人がほとんどいないという現状から、最終的には日本全国の10分の1か5分の1の人がユーザーで、地域のコミュニティーがすごい発達していって、とりあえずコロプラをやっていれば1つの仮想世界に入れる。そしてゲームを楽しみつつ、実生活もより楽しくなるというのが最高の状態ですね。
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by masashirou | 2010-04-25 14:27