「龍を見た男」小説からの引用です。

山崎がこの35年間、抱き続けた三つの疑問がある。

《なぜ、夢の高速増殖炉もんじゅが成功しなかったのか?》
《なぜ、日本だけがチェリノブイリ原発事故があった一九八六年以降も原発を作り続けたのか?》
《なぜ、ニューサンライズ計画の地熱有望地区での試掘がすべて失敗におわったのか?》

桝井幸三は初対面の山崎に三つの疑問の解というべき驚くべき真実を語りだす。

「それはですね。オフレコでお願いしますね。いまでも、関係者がまだ政府中枢部に生存しておられますからね。また、CIAは自前でプルトニュウムを生み出す福井県白木に作られた高速増殖炉もんじゅは初めから失敗させるためのプロジェクトとして発足させたんです」

母の先祖が信長の執拗な追手を避けるため白木谷に落ちのび、誇りある名前『朝倉』から『白木』に変えた。そのいわれにつながる高速増殖炉もんじゅが姉川の戦いから四百三十年の月日を超えて自分の前に突然現れた。 

「もんじゅは、あの事故さえなければ、成功していたんですよ。何者かが、もんじゅ運開から三ケ月後 ナトリウム漏洩火災を発生させました。わざと、角のついた温度センサーを配管内にセットし、それが原因で、配管内に渦がおこり、ナトリウムが漏れだしました。ナトリウムは激しく発火し、大火災になりました。また、五年後、非常用ディーゼル発電機を故障させ、さらに、最終的に今度は三トンの鉄のかたまりを原子炉内に落下させたのです。これにより完全にもんじゅを停止させることに成功しました。事故発生後、復旧作業の担当課長が、謎の自殺。変死体が敦賀市内の山中でみつかりました。ご存知だと思いますが次々と関係者が死んでいくんです」
「はい、事故のビデオ隠蔽問題を内部調査していた担当者である総務部次長が、ホテルから転落し、亡くなった・・死因が警察発表と違うことが後で発覚し、大問題に・・・」

「CIAの手口です。秘密を知った、真実を知る人間がこの世から消えてしまうのが最大の安全策です。反対しました。そんな馬鹿な話があるかって。上司から脅されました。部署を変えられ、三年間、仕事を取り上げられました。それで、早期退職を申し出ました。退職金はなぜか想定の二倍でした。私は抗議して通常の退職金以上は返済しましたが・・・、一九八六年当時、アメリカが一番懸念したのが最大の原発マーケットになりつつある日本で、発生したチェリノブイリ原発事故により、原発反対運動が再燃することでした。欧州では激しい脱原発の運動がおこっていましたから、そこでニューサンライズ計画を立ち上げさせたのです。結果はご存知のように、太陽熱、風力も地熱もすべてだめだという結論になりました」

「では、最初から新エネは、だめだとする答えがあって仕組まれたニューサンライズ計画だったんですか?」
「そうです。日本人を洗脳するためです。自然エネルギーがいかに使えない脆弱なエネルギーであるかを日本人が完全に納得するように。次に、地球温暖化キャンペーンを行いました。安い石炭や原油を使えなくするためです。マスコミや学界を総動員した地球温暖化キャンペーンは成功しました。これが、チェリノブイリ原発事故のあとでも、日本だけが原発を作りつづけた理由です。将来にわたり、二度と自然エネルギー開発運動が日本で盛り上がらないようにする。それが、CIAに課された使命だったのです」

山崎は突然しゃべりだした。「世界のマスコミと日本のマスコミが全く異なる報道をしているのが、地球温暖化問題である」と地球物理学者のスミスから馬鹿にされていた憤りが噴出した。

「地球温暖化のキャンペーンは、EUが排出権取引でお金を日本と中国から引き出すために作った虚構です。実はこの20年以上、地球の平均温度は変わっていないのです。むしろ、最近の観測結果から、寒冷化を懸念すべきという科学者が多くなりつつあります。南極の氷も近年、増加しているとNASAが発表しました。世界中の都市の人口集積に起因するヒートアイランド現象と定期的に発生するエルニーニョ現象による異常現象を、全て地球温暖化の影響としてマスコミに流しています。
日本人は、『地球温暖化は人間が排出する二酸化炭素ガスによる』と90%が信じていますが、欧州では40%、アメリカでは25%ぐらいの人しか信じていませんよ。アメリカ、オーストラリア、スイス、英国、カナダなどの国々は温暖化対策予算の削減や関係役所を閉鎖しています。スイスでは、炭素税も見送られました。2009年のクライメートゲート事件、IPCCのメールがハッキングされ、恣意的なキャンペーンの嘘が世界中に広く知れ渡り、一気に信用が失墜しました。また、近年のNASAなどの観測結果が公開され、予測シミュレーションと大きく違うために、地球の平均温度が、この20年以上、変わらない事実がばれてしまいました。
日本のマスコミだけが国民に伝えていないのです。原発再稼働を推進するため、利権の巣窟の《温暖化村》を支える環境庁の官僚、および東京大学の御用学者、マスコミによる陰謀でしょうかね。
寒冷化と温暖化は常識で考えても、生命にとって温暖化の方が生命活動を増加させることは科学的事実です。先日、わずかな降雪で、日本全体が交通や水道や全ての社会的インフラが止まりました。とくに、海に囲まれ、大陸国家でない、日本列島は南北に延びている点でも、温暖化の影響が一番、出にくい国です。その日本が温暖化対策費として、毎年4兆円の税金を無駄に使用しています。経済的マイナスを考慮すると、年間の10兆円から15兆円も国富を失っています。これを止めれば、消費税なんか上げなくても財政再建ができるんですよ。これも、日本人がマスコミの情報を真実だと信じる無知からくる弊害ですね・・・日本だけが、世界中からカモにされているんです」

男はすこし、微笑しながらいきり立つ山崎を見ている。ゆっくりと喋りはじめた。

「そうですね。もともと、欧米が、日本と、成長をする中国などの発展途上国から排出取引のお金を奪い取る計画でした。ところが、逆に、発展途上国が、文明を先取りした先進国に資金援提供を強く要求するようなり慌てたのです。風向きが変わり始めて、日本以外の先進国は、温暖化キャンペーンには距離を置くようになりました。日本の常識が実は、世界の非常識と言われています。日本だけが、テレビや学校で地球温暖化を真実のように伝えています。英国やオーストラリアの小学校では温暖化については疑問があることをちゃんと教えています・・・」

冷静に話す男をみて、山崎は少し恥ずかしくなり話題を変えた。
「地熱発電つぶしの陰謀をロシアに対して日本もしていたことをご存知ですか?」
「本当ですか?それは初耳です。教えてください」

「日本は北方領土返還交渉の時です。外務省にロシア側から北方四島の電力を日本の技術援助で、地熱発電で賄えないかと打診されたんです。日本側は無償で地熱調査し、有望なデータをあえてダメなデータにねつ造して地熱開発を止めさせたんです。その代わりに、日本は重油発電機施設を寄贈したんです。そうすると、ソ連の重油は質が悪く使えませんから、日本からの重油を使う限り日本の援助が必要になります。北方領土四島の世論を親日に仕向け、ロシア側と有利な交渉ができるようにしたんです。いったん、地熱発電ができると永久に日本からの援助がいらなくなりますからね」
「そうですか。外務省もなかなかやりますね。では、こちらの地熱の話を続けさせていただきます。CIAが通産省からアメリカに留学していた通産省トップエリート官僚内山をエージェントに仕立てたんです。帰国し数年後、内山は華々しく通産省のアメリカのロビーイストとして舞台に現れました。独立した時から数十億円の現金が彼の預金口座にあったと聞いています。その資金を使い、ニューサンライズ計画を資源科学省に持ち込んだのです。
工作活動が実行されたのです。日本の地熱発電を本気で取り組むと同じ安定したベースロードとして最大の原子力のライバルとなるんです。地熱が増えると、アメリカの原発やウランを濃縮したイエローケーキを売り込めなくなる。
日本が本当にアメリカから独立した国家にならないために、《エネルギーと食糧》を自給自させないことが必要なのです。
そこでアメリカはCIAに 内山を使い自然エネルギー開発をお題目とするニューサンライズ計画を立案させた。わざと、ことごとく国立公園内の有望地区の地熱プロジェクトを破たんさせたんです。これにより今後、未来永劫、日本での地熱開発の可能性が完全に消滅したわけです・・・」
山崎が沈黙していると、男は話を続けた。
「こんなことを言うと、いわゆる陰謀論と日本人は考えるかも知れませんが、アメリカはエネルギーに関して、CIAを使い、世界中でこのようなアメリカの産業を守る陰謀を≪通常業務≫で繰り広げているのは事実なんですよ」
「質問をしてよろしいですか?」
「どうぞ」
「あなたが週間文秋に内部告発の情報を流したのですか?」
「私じゃないですよ。上司からは、私だと疑がわれましたがね、相当いじめられましたよ」
「もう、ひとついいですか?」
山崎が最後の質問を男に尋ねた・
「内山さんの突然死はあまりにもタイミングが良すぎます。内山さんもCIAに消されたんですか?」
「それは私もわかりません・・・、知らない方がいいと思います。あなたにとって。世の中には、知らなければいけないことと知らない方がいいことあるでしょう、山崎さん」
男は山崎をすこし憐れむような表情を見せてつぶやくように語った。

山崎が帰ろうとすると、男は地熱と原発のもう一つの深い闇について、ダムから水があふれるかのように山崎に語りだした。

「それに関東電力OL売春婦殺人事件の事はご存知でしょう?」
「関東電力OL・・殺人事件ですか?」
「そう・・・」男が山崎の顔を見ながらつぶやくように言った。
「関東電力という有名な企業の中枢の企画部副長というエリートが毎晩、売春婦として街にたって客を取っていた。テレビや週刊誌で連日報道されましたからよく知っています」
「本当は、全て、でっち上げなんですよ」
「えっ。そうなんですか?」

「彼女は渡部通産大臣と関東電力との重要な交渉役でした。当時の通産省は原発推進派と自然エネルギー派で壮絶な戦いがなされていました。被害者は電力会社が導入しようとしているプルサーマル原発の危険性を示す論文を通産省に提出する準備をしていました。事故の時に放出される放射能汚染が著しく増加し、操作性の難しさを指摘する論文です。福島原発事故で、黒煙と炎と黒い煙を上げて、すごい爆発音で、三回爆発する映像が世界中に流れました。あれがプルサーマル原発の爆発です。一,二号機の水蒸気爆発とはまったく異なる爆発です。最初の爆発は水蒸気爆発、二回目の爆発は核爆発でした。これこそが被害者が、最も危惧し、指摘していた事故です。つまり、一部の燃料棒のみにMOX燃料を入れると、発熱量にムラが生じる。温度の不均衡が進行すると、高温部の燃料棒が破損しやすくなる。水蒸気管破断のようなPWRの冷却水温度が低下する事故や、給水制御弁の故障のようなBWRの炉内圧力が上昇する事故が発生した場合において、出力上昇速度がより速く、出力がより高くなるのです。この論文が、左翼系のマスコミや通産省の自然エネルギー推進派に渡れば、プルサーマル計画が宙に浮いてしまいます。だから、殺されたんです」

「やはり、そうでしたか・・・どうして、命を懸けて行動したのですか?」
「当時、関東電力内部でも阪神大震災、スリーマイル原発事故発生による反原発思想が大きくなりつつあったのです。被害者のお父さんが関東電力本社の副部長時代、脱原発を主張していましたが、突然、左遷され、癌で亡くなります。父の意志を彼女は受け継いだ。会社が導入しようとしていたプルサーマル原発の危険性を通産省や大臣に警告する彼女が邪魔だった。『原発に比して地熱発電の優位性に関する論文』が受賞するくらいの超エリートで、関東電力初の女性総合職のトップエリート社員でした。単なるOLではありません。また事件の後、被害者が研究を進めていた地熱発電は新エネ法から除外され国の補助金が打ち切られました。そして、プルサーマル原発が稼働します。不可解なことに、事件の直後、被害者の上司の男たちが異例の出世をします」

「つまり、被害者が原発よりも地熱の優位性を検証した研究論文を書き、受賞。世間の注目を集めている被害者が、今度は、プルサーマルの危険性を論文にまとめて通産省に提出しようとした矢先、異常な性癖の売春婦という汚名を着せられ、殺害された」というシナリオですか・・・殺すにしても凄い憎悪を感じますね。ネットでみると被害者はかなりの知的で美人ですから、違和感があります・・・関東電力ぐらいの力があれば、単なる殺人事件として、警察とマスコミ隠蔽工作ぐらいできそうな事件ですけど・・不思議にも、関東電力広報部は動かなかった・・むしろそれを大きく広めた感が見受けられます…変ですね。この事件を題材にした本が、何冊も出版され、映画やテレビなどが多く製作されていますが、事件の被害者の異常な性的猟奇性を強調する内容ばかりです。企業の信用を傷つけた場合、上司たちは降格されるのが普通ですよね・・・・・・」山崎は自分自身に言い聞かせるように呟いた。

「真実を隠蔽する方法には二つの方法が用いられます。ひとつは大衆が理想とする犯人像にぴったりの犯人を作り上げ、逮捕して事件を早く収束させる方法です。この場合は、貧しい、アジア、有色人種、肉体労働者、不法滞在者、これで大衆は納得しますこれに類似した事件が、鹿児島での強姦事件です。早朝、路上で強姦して逮捕された青年は無実でした。五年後に冤罪事件と判明した事件です。この時の大衆が期待する理想の犯人像は、金髪、ホストクラブの売れないホスト、元非行少年でした。警察はDNA検査で本人以外のDNA鑑定が出ているのを隠蔽して、被害女性の証言にもとづき、逮捕しました。
二つ目の方法が、事件の本質から大衆の目をそらさせる方法です。沖縄返還時の核持ち込みに関する密約を暴いた毎日新聞の西山記者の事件では、この方法がとられました。情報をリークした外務省エリート女性官僚との情交が何回あったのか?大衆の大好きな不倫スキャンダル事件にしてしまうのです。そうすれば、だれも、沖縄返還の真実を追求することができなくなるのです」

「CIAが世界中で展開している基本戦略ですね。私もそんな事例をアメリカの石油企業が行うのを、いくつか見てきましたからおっしゃる通りだと思います・・・」

「そうですか。ご指摘のとおり、この事件について異常に多くの本や映画やテレビドラマが製作されています。そのほとんどが被害者の異常な性癖に焦点を当てたものばかりです。逆に、そこに、私はある強い意志を感じるのです。私は、かなり周到に作られた偽装事件だと推測しています。あくまでも、これは、私の推理です。まず、被害者が売春婦であると第三者の証言を得るために地元の暴力団幹部に依頼して、被害者の体形に似た本当の娼婦に、目立つ服をきせます。
厚化粧をさせて、数ケ月前から街に立たせ、働かせる。そうやって、噂を広げる目撃する人間を複数作ります。娼婦は事件後、歌舞伎町の路上で、中国マフィア蛇頭にでも依頼して、ナイフで刺し殺す。死人に口なしです。売春を記録する手帳や売春相手のアドレスや様々な証拠を、犯人側、被害者側の両方でつじつまがあうように、第三者の証言も含めて完璧に仕組みます。
しかし、それでも漏れがありました。売春相手からは激ヤセで、厚化粧だったので、本人確認が困難という証言や、容疑者が絶対行かない高級住宅地で、被害者の定期券が見つかるとか…しかし、すべてが闇にほうむられたのです。すべてがシナリオにそってねつ造されました。
突然、犯人逮捕から、十五年後、二〇一二年、状況証拠のみで、自白を強要され、犯人とされたネパール人の冤罪が確定し、国から釈放金六千九百万円渡され、帰国しました・・国家ぐるみの冤罪事件の終わりです・・・・」

「なんで、十五年も無罪を主張する被告が監獄にいれられたんですか?」
「このタイミングこそ、この事件の真犯人の姿が見えてくるヒントがあります」
「たしか、釈放は二〇一二年でしたね・・・あっ・・・」

「そうです。事故です。福島原発事故が二〇一一年。検察は釈放するつもりは最後までありませんでした。正確には、・・・ある男から、指示が無ければ・・・・唐突ともいえる突然の釈放には、理由があります。関東電力と経産省の原発推進派が力を急激に失ったからです。わかりやすく言えばその事件に深く関与した、名前はいえませんが、ある男の力がなくなったからです。被害者が警告した福島原発事故が無実のネパール人を救ったのです。真犯人は、まだ逮捕されていません。いや逮捕するわけにはいかないのです・・・・真実が明らかになりますから・・・」
「女の怨霊が原発事故をよびおこし、男に父の復讐をしたということになりますか・・・・・」
「すべて、アメリカのCIAが仕組んだ事件です。日本は、原発をやめることを自分の意志では止める訳にはいかないんです。いいかえれば、地熱発電を推進してはいけないのです。原発と地熱は似た者同士でから・・・」
「そうですね。地熱発電はいわば、原子力発電のお母さん。違いは、地熱は地球が原子炉で、原発は人間が運転、地熱は大地の母なる神ガイアの運転です。しかし、危険なエネルギーである放射能は、神でも運転事故を起こします。地熱の原発事故は火山爆発や地震、原発事故と同じで、甚大な被害を人間に与えますが、地熱は放射能が地下深く、眠ったままで、地表に出てきませんから安心です・・・」山崎がすこし、おどけながら、地熱の特性を話した。
「面白いたとえですね。しかし、地母神ガイアは、神様ですから、火山は、ニキビが治る時に流れ出る血、地震は寒気を調整するときの身震い、津波は熱い時に流した汗のつもりでしょう。被害というのはあくまでも、人間にとつての話ですよ・・・」

「そうかもしれんね。我々はいつも人間本位な考えをしてしまう傾向があるようです。これは、まいりました・・・いやほんと・・・」
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by masashirou | 2016-02-08 20:10  

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