観光地の滝・温泉… ご当地発電 計画続々

観光地の滝・温泉… ご当地発電 計画続々
自治体・企業 電気を「地産地消」 コスト・効率化が課題
2011/8/11 9:24

 滝や水、温泉など手近な資源を使ったご当地発電の試みが各地で広がってきた。電気の「地産地消」を進めて、火力や原子力といった従来型発電への依存を減らす狙いだ。現状ではコストや発電効率がネックだが、東京電力福島第1原発の事故で再生可能エネルギーへの関心が高まる中、取り組みが一気に広がる可能性もある。

■年間1000世帯分



観光名所でもある曽木の滝を発電に使う(鹿児島県伊佐市)
 鹿児島県伊佐市と建設コンサルタントの日本工営は2012年秋、市内の観光スポットである曽木の滝を使って小水力発電を始める。日本工営が約4億円で発電設備を造り、市は土地などを提供。年間発電量は1000世帯分の年間消費量にあたる354万キロワット時を見込む。

 明治時代、曽木の滝には当時国内で最大級の水力発電所があった。今回も滝の上流に残る発電所の取水口から水を取り、タービンを回す。発電した電力の大半は九州電力に販売。残りは曽木の滝公園の照明に使う。



 富山県内の建設業者らが設立したアルプス発電(富山県滑川市、古栃均社長)は、小早月川から引いた水で最大1000キロワットを発電する計画を進めている。総事業費約11億円のうち約8億円を全国でも珍しい市民出資で賄う計画だ。12年春の運転開始を目指している。

 ご当地発電の試みは原発事故前から行われているものが大半だが、環境エネルギー政策研究所(東京・中野)によると、事故後は発電に関する自治体などからの問い合わせが5倍に増えた。

 温泉地では温泉水の熱を使った温泉発電の試みも。水より沸点の低いアンモニア水などを温泉水で沸騰させてタービンを回すもので、静岡県は下田市、東伊豆町、南伊豆町の源泉計4カ所で、実用化に向けた調査を始めている。温泉水で発電装置を動かすにはセ氏70度の温度が必要。90度あれば理想的といい、13年度の事業化を目指す。

■人の振動利用



藤沢市は庁舎玄関に人の歩行による振動を使って発電する床板を設置している
 人の集まる場所では振動を発電に生かす取り組みが進む。仙台大学(宮城県柴田町)はベンチャーの音力発電(神奈川県藤沢市、速水浩平社長)の技術を使い、人工芝を踏んで電力を作る2メートル四方の装置を開発。芝でフットサルを行うなどの実験を行っている。

 千葉大学と同研究所によると、09年の都道府県別の再生可能エネルギーの自給率は、地熱発電で国内最大級の八丁原発電所(九州電力)がある大分県が最も高く25%。最下位は東京都で0.2%。東京が低い背景には電力消費量が多いことや、活用できる土地・資源が少ない都会特有の事情があるとみられる。

 ご当地発電にとっては効率とコストも課題となる。仙台大が最初に作った人工芝は50センチメートル四方を1分間踏み続けて、発光ダイオード(LED)電球1個が2.5秒光る程度。現在、発電効率の改善を続けている。伊佐市の小水力発電も採算ラインに乗せるには、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る「再生エネルギー特別措置法案」の成立が欠かせない。
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by masashirou | 2011-08-15 09:57  

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