人間は不死不老の生命体でした。

もう一度申し上げますが、人間は不死不老の生命体でした。人間の細胞は自ら好んで、死を受け入れ、有限な人生こそ最大の楽しみ、それは異性と出会い、と進化する子孫というベニフィットを手にしたのです。

忘れたかもしれませんが、137億年前に宇宙が突然ビックバン。地球が四十六億年前に誕生し、八億年の月日が流れ、三十八億年前に地球に生命が出現しました。その生命に死の遺伝子が組み込まれたのは12億年前それまでは単細胞の、例えばゾウリムシなどのように、生命体は細胞分裂を行いながら増殖する生命体でした。その細胞の中には死ぬという遺伝子は存在しませんでした。つまり、死は我々自身が選択したのです。


環境が許せば永遠に細胞分裂を繰り返しながら生きられる死を知らない生命体だったのです。20億年前に雄と雌の二つに命が分裂して、性交により、二つの生命体が遺伝子を組み合わせて、新しい生命を創造するシステムが誕生し、進化するシステムが確立したのです。

人間に最大の快楽を与えるセックスと生命の進化のシステムの二つの特典と引き替えに、私たちの生命体の中に、『死』の遺伝子が組み込まれました。宇宙の原理は、このように幸いなるものと不幸なるものを同時に人間に与えるのです。生きるというのは、絶えず何かが死んでいるのです。つまり、死は生の一部であり、極言すれば、生は死そのものなのです。

驚くことに、これはすべてのミクロ原子の世界からマクロの宇宙の世界まで同じ原理が貫いて存在します。星の誕生を司る『ホワイトホール』が、星を飲み込む死を司る『ブラックホール』に繋がっているように、同じシステムが存在しています。地球に人間が存在し、その人間が生きるために、膨大な死がその存在を支えています。


 人間が生きる上で、ほかの生き物の命を殺生して自分の命を育む宿命を持っています。
 私たちが食事の前に神に祈る感謝の言葉は、人間に食べられ生命を落とす植物、動物たちに、『死』が『生』を相互補完するシステムの中の不可避なこととはいえ、有難うという心、感謝する心を込めて、口にする祈りの言葉なのです。


 この世界には、二種類の人間が存在しています。常に自分に無いもの、足りないものを数えて生きる人間と、常に自分に有るものを数えて生きる人間です。『有難う』という言葉を素直に言える人間は、後者の人間です。彼らはいつも『幸福』になれますが、前者のいつも自分に無いものばかりを考える人間は、人生に一度だって幸福を感じることができないのです。そういう人間も、年をとり、老いて死んでいきます。古い世代が死ぬことで、若い次の世代の人間の生を輝かせることができます。

こうして、生と死はさまざまなところで深く繋がっているのです。私はいつも自分に言い聞かせています。『お前はそのような多くの生命を犠牲にして生きている。この世で、人間が犯す最も残酷な行為とは、食べ物を残すこと、そして、多くの食べ物により支えられている、自分の命を粗末にすることなのです。だから、今、生きていることを楽しみなさい。それが命を捧げてくれた食べ物に対する最低限の義務です。
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by masashirou | 2011-06-29 10:13  

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