民主主義社会

民主主義社会を健全に機能させるためには、『社会秩序、公平さ、健全な競合』が存在しなければなりません。アメリカには、それが存在しません。『偽りの民主主義』なのです。しかも、アメリカは世界最強の軍事力を使い、独断と威嚇と虚構による『偽りの民主主義』を世界に拡大しようとしています。
 フランス革命では、革命−反革命と振り子のように揺れ動く歴史の中で、セーヌ河に多くの血が流されました。その中でわれわれが結論に到達したのが、多数決による民主主義の議決のルールです。対立を前提として法律やルールに則り冷静に議論し、多数決で物事を決定する方法です。現在の先進国の民主主義国家の理念は、フランス革命から誕生しました。 フランス最初の社会主義政権の指導者ミッテラン大統領は、フラテルニテ(友愛)を次の言葉で言い換えて演説をしています。それは、『異質な他者を尊重する』という言葉です。民主主義は、『神ではない人間』が絶対的権威と力を保持する政治システムです。当然、『絶対的な神でない』人間同士ですから、すべての意見に『絶対正しいこと』はないという概念が民主主義の根底にあるのです。民主主義は陰陽思想のように、相対主義なのです。ですからルール、法律に則り多数決にて、すべてを決めるのです。『自由・平等・友愛』の『陽』の理想は、『規制・格差・競合』の『陰』の現実との相対関係の中で具現化するのです。それぞれの二つの対立する概念を統合する困難な作業こそが、次元を高める真実の民主主義の姿を形成するのです。
 アメリカは、国連でも、地雷処理問題や環境問題など多くの国際会議においても、巨大な軍事力を背景に、この民主主義のルールを破壊し続けているのです。アメリカは国際的な非難を隠すために、大きな策略を立案しました。国家戦略を“WAR ECONOMICS”と定めたのです。つまり、戦争を恒常的に起こすことで経済を刺激し、自国の経済を富ませるという『戦争経済主義』です。アメリカは四十年間に膨大な財政赤字が累積しています。赤字を埋め合わせる国債の累計残高が、二〇〇六年末で八兆七〇〇〇億ドル(一〇四四兆円)になります。二〇〇六年の単年度で、貿易赤字は過去最高の七六三五億八八〇〇万ドル(九二兆円)に到達しました。これだけの膨大な赤字を垂れ流しにして、アメリカが破綻しない秘密は、ドルが世界基軸通貨であるからです。つまり、いつでもアメリカ政府が必要な時にドルを印刷できるからです。
 そして、戦争に必要なドル購入する資金を、競争力の強い、工業製品の輸出から得る膨大な富を常に創出する極東の日本と、世界一の油田から得られる莫大な富を生む中近東のサウジアラビア、そして、近年、巨大な世界の工場として躍進を遂げた中国の三カ国を中心として、世界中から調達しています。この三カ国に強制的にアメリカ国債を購入させるという手段を使い、富を調達しているのです。ヴェトナム戦争では、戦争の費用を国内の増税に頼ったために、失敗しました。しかし、この新しい方法は自国国民の負担を感じさせないために、効果的に見えます。その目的を達成するための戦略、それは『テロの恐怖による世界支配』と呼ばれる戦略です。ナポレオン皇帝も『人間は恐怖と利益で動く生き物である』という言葉を残しています。
 アメリカは9・11以降、フランスや全世界をイスラム世界との泥沼のテロ戦争に引きずり込もうと策略を明確に打ち出しています。イスラム勢力を巨大な敵に仕立てるのがアメリカの新戦略なのです。アメリカはソ連がいなくなった冷戦後の世界で、新しい敵、恐怖を覚える敵を捏造する必要があるのです。
 敵がいたるところにテロ組織として存在すれば、世界最大の軍事力を誇るアメリカは世界中で経済、石油、情報を支配できるのです。サウジアラビアの王族はアメリカの軍隊をイスラムの聖地メッカのある自国に駐留させて、イスラム原理主義の革命勢力の攻撃から守護してもらっています。この二つは『陰』と『陽』の、相対しながらも相互に必要な関係を持っているのです。この陰謀を実行するのは、第三国、パキスタン軍の諜報機関であるISI(統合情報局)です。
 先ほども述べましたとおり、約二百年前、わがフランスが英国の植民地からアメリカを独立させるために巨額な資金を提供し、建国させたのがアメリカです。現代では立場が逆転して、そのアメリカが英国を支配下に入れ、共同して世界を混乱に陥れようとしています。再び、フランスは英国とアメリカを分離させ、米国の力を弱めるために、英国と米国の間の密接な関係に楔を打ち込まなければなりません。これこそがフランスの歴史的使命なのです。
 フランスには、イエス・キリストの血脈を受け継いだマグダナのマリアの子・サラ伝説が語り継がれています。イエスの子サラを連れたマリアは、フランス南部のプロバンス地方を歩き、キリストの福音を説きました。そして、フランスの南部のサント・ボーム山の山麓に、三十三年間暮らし、波瀾万丈の生涯を閉じました。イエスの血脈を受け継ぐ子孫たちが、このフランスの地に住み、多くの子孫を残してきました。フランス国民を抹殺する今回のバイオ・テロは、人間イエス・キリストの血脈を根絶やしにしたいと思うアメリカの狂信的なキリスト教原理主義者が背後にいるのかもしれません。 9・11からわずか一カ月も経たない十月七日に、アフガニスタンへの攻撃が始まり、一年半後の二〇〇三年三月二十日に、イラク戦争が始まりました。そして今、イランとの戦争を始めようとしているのです」
 会議室から驚きの声が上がった。ざわめきが静まるのを待ち、ノーベル担当官は静かな落ち着いた口調で話を続けた。
 「イラクには大量殺戮兵器はありませんでした。フセイン大統領はビン・ラディンとは関係がありませんでした。戦争の大義が次々と否定されても、人々は怒りません。これは、最初のイメージから、人間の意識を変革する混乱を避けようとする自衛本能が働くからです。
 湾岸戦争でも、アメリカの大使が『イラク軍がクェートに侵略しても、アメリカ政府は一切関知しない』というメッセージをフセイン大統領に送り、イラクに戦争を始めさせました。その結果、フセイン大統領は大きく国際世界から孤立。その後の9・11テロの黒幕という汚名を着せられ、アメリカ軍が一気にバグダッドに侵攻、フセイン大統領を逮捕し、処刑しました。アメリカがフセイン大統領を排除したかった理由は、テロ支援国家でも核兵器開発でもありません。本当の理由は、フセイン大統領が自国の石油取引をドル決済からユーロ決済にしたからです。アメリカが自国の都合で自由に印刷するドル紙幣は、石油がドルで決済できる唯一の基準通貨であることにより、信用されているのです。次々と陰謀を裏付ける新しい事実が明らかになっても、人間はできるかぎり、自分の判断は正しかった、誤りはなかったと無意識に思いたいのです。
 眼に見えているものを信じてはいけないのです。
 アメリカ議会で『クェートの病院で、イラク兵が未熟児を虐殺した』と素晴らしい英語で涙の嘘の証言した、十五歳の『ナイラ』と名乗る少女は、クェートに滞在したこともない、アメリカ在住クェート大使サウド・ナジール・アルサバの一人娘でした。また、世界にイラク軍の酷さを認識させた一枚の写真、油まみれの鳥の写真はアメリカ軍が撮影し、演出されたプロパガンダ写真でした。
 歴史の中で、勝者により真実は隠蔽され、勝者に都合のいい嘘が真実とされるのです。フランスの英雄ナポレオン・ボナパルト皇帝の言葉に『歴史とは、勝利者の全員により合意した嘘である』とあります。
 『愚かな戦争が始まると、数え切れない犠牲者の屍が生まれる。しかし、どの戦争でも最初に、同じ犠牲者の名前が歴史に刻まれる。その犠牲者の名前は真実という名前を持っている』という賢者の言葉のとおり、歴史は『いつも、勝者が善なるもの』と記されるのです。しかし、注意深い観察から真の犯人が見極めることができます。
 すべての捜査に共通して言えますが、誰が最終的に事件により利益を得たのか、それを解明していけば、本当の姿が見えてくるのです。9・11テロ事件以降、一バーレルが二〇ドルから一八〇ドル近くに石油価格が暴騰しています。米軍に自国の革命勢力から守ってもらって王政体制を維持し世界一の巨大な石油利権を独り占めにしているサウジアラビアの王族、アメリカの産軍企業共同体、アメリカの石油企業、中近東の産油国の支配者、ロシア、中国などの産油国が、この恩恵を受けています。
 特にアメリカ軍の庇護の下で、世界第一産油国のサウジアラビアは、競合相手のイラクやイランの周辺諸国が戦争や内乱の環境下にいることで、石油価格を高値維持し、OPEC(石油輸出国機構)で優位な立場を維持できるのです。
 結論から申し上げます—。私はロナルド仮説を評価し、信じている立場から提言させていただきます。
 ローマ帝国が寛容の精神を失った時、ローマ帝国は、滅びの道を歩みはじめました。アメリカも、9・11以降、同じ道を歩みはじめています。『恐怖の夏事件』で有名になった、東洋の不思議な紋様太極図の世界が、テロの恐怖に慄く世界の実情を表しているのです。敵と味方が、攻撃者と犠牲者が、陰と陽のように対立しているように見えますが、その奥深いところでは繋がっているのです。一七八九年、フランス革命で流されたたくさんの貴重な血で手にした『自由と平等と友愛』の理想を守るために、決意しなければなりません。
 フランスがアメリカに寄贈したハドソン湾の守り神『自由の女神の銅像』は、自由を求めて新大陸を目指した欧州からの多くの移民にとって、希望の象徴でした。アメリカの建国以来、アメリカの自由の女神像の眼差しは、パリの方角を向いています。セーヌ河の中洲にある『自由の女神像』が本物なのです。本物の民主主義の発祥地であるフランスは、現在のアメリカ政府を陰で操る誤ったキリスト原理主義者による『偽りの民主主義』の陰謀と戦うべきです。フランスは民主主義を誕生させた誇りある国家として立ち上がるべき時が来たのです。そして、ミッテラン大統領が身をもって示されたように、イスラム文明や東洋文明などの、西洋文明と異なる価値観の多様性を認め、多くの異なる文化、国の歴史を認め合いながら、融合し、共存できる平和な地球文明を建設しなければなりません。
 その夢の実現の第一歩が、EU世界の拡大なのです。EU世界のユーロ通貨がドルに変わり、石油市場と排出権の世界基軸通貨になれば、アメリカの暴走を抑止できます。世界を破壊するアメリカの動きを、フランスが率先して阻止すべきだと考えます—。聖母マグダナのマリアを愛し、キリストの血脈を受け継ぐ王朝、民族の歴史を持つ、真の民主主義の伝統を持つEUのリーダーとして……。そして、故ミッテラン大統領がパリに記されたミッテラン・コードのVの文字は勝利“ VICTORY ”のVであると同時に、大きな人類愛の“ VISION ”だと思うのです。
 最後にミッテラン大統領の就任演説の言葉をご紹介し、終わりにしたいと思います。

 私が最も大切だと考えることは、敵対する勢力を、力で打ち倒すことではなく、彼らを説得し、納得させることなのです。私が大統領に就任した今日、一九八一年五月十日という日の、真の勝利者、それは希望であります。フランス国民が、その希望を手にするために、私は、相手への畏敬の念を持ち、意見の異なる複数主義の道、異なる立場を認める道を、立ち止まることなく、歩き続けたいと思います。世界は今、国と国との利害が対立し、果てしない緊張が続いています。フランスは宣言します。地球上に生きる人類の約三分の二が、餓えと屈辱の中にいる限りは、本当の国際共同社会は成立していないことを……

 有難うございました」
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by masashirou | 2010-05-30 15:20  

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