ミラーニューロンの凄さ

脳に関する新刊本はベストセーラーになっています。
中でも、イタリアのパルマ大学のリゾラッティ博士たちがマカク猿の前頭皮質の運動皮質F5野に発見した話題のミラーニューロンという脳細胞が凄い。この細胞は他者の行為を、見たり聞いたりしただけで、あたかも自分が行為の主体者であるかのように脳が反応する細胞です。他者を『陰』、自己を『陽』とすると、この細胞こそ『陰の陽・陽の陰』の自他・陰陽を繋ぐ脳細胞といえるでしょう。

この発見は、自己と他者の認識を世界的に変革する力を持っています。生命観を一変させた細胞学のDNAの発見と同じくらい脳科学分野での世紀の発見だと言われています。

私が本を読んで、感動した言葉を書き出します。

「全ての現象、存在、意識は脳が作り出したイリュージョンにすぎない」
「身体の60兆の細胞は常に死滅再生を繰り返す。しかし、1000億個の脳細胞は再生しない。死滅するのみである。これは、自己をいう個体の意識と記憶を維持する為である」
「人間の60兆個の細胞の中に、他者のDNAを持つミトコンドリアが一つ一つの細胞の中に、2000~3000個も共生して、細胞に酸素から得られるエネルギーを与えている。どこからが自分でどこからが他者であるという区別はミクロレベルでも付けられない」
「脳はつねにゆらぎの状態にいる。新しい発明や発見はゆらぎの中から誕生する」
「脳は全ての情報を曖昧な形で認識する。曖昧だからこそ次々と変化する状況に対応できる」
「女性のミトコンドリアは授精の度に受け継がれるので、それをたどれば16万年前のアフリカの1人の女性に行き着く。その女性を『ミトコンドリア・イブ』と呼ぶ」
「動物脳と呼ばれる生存を司る古い脳は人称が理解できない。他者を攻撃した言葉を自分という人称が理解出来ないので、自己への攻撃と記憶し、ストレスを抱え込んでしまう」
「脳内で行われている決定システムは神経細胞の先端部のシナプスに抑制と推進する効果の化学物質が同時に放出される。全ての決定が多数決の民主主義的なシステムで行われる。少しでも濃い濃度の方に決定されるのである。つまり、全ての決定のなかに最大49%の反対意見が包有されている。火事場の馬鹿力は抑制の物質が完全に0%になった時に信じられない力を筋肉に与える」
「人間は開放系のチューブみたいなものである。しかし、人間の脳は閉鎖系の袋だと錯覚している」
「人間の筋肉を動かす脳の細胞が人間の意志決定を司る脳細胞が発火する0.35秒前に発火している。肉体が心、意志をリードしているのだ」
「五感による認識は、脳が描き出した錯覚である」
「ミラーニューロンという鏡の機能をする脳の細胞は、自己と他者を繋ぐ、人間が社会との、つまり他者との関わりを持つための装置である」
「右脳の回角という部分は、自己が肉体を離れ幽体離脱させる脳細胞である」
「幽体離脱する脳の機能は、人間が自己を客観視して、社会に自己を順応させる脳のシステムである」
「人間が食べ物を食べるのは、宇宙では、全ての物質がエントロピー増大システムの中で、低エントロピーの食べ物を自己に取り込み、エントロピーを低下させる為の行為である。自己とは他者の存在が無ければ存在できない相互依存の関係にある」
「自己の範囲は五感により、ミクロ世界から宇宙のマクロ世界まで、拡大することができる。それは脳が全ての世界を確かな質感(クオリア)をイリュージョンとして創造しているからである」
「自我という意識は、脳細胞の80%を占める水が作り出している」など
興味深い解説が本に書かれています。

本講座を完全に理解された方は、これらの言葉の中に太極図の原理を見抜くことが出来るはずです。
老子と同時代を生きたインドの覚醒者仏陀の説く般若心経の「色即是空、空即是色の世界」です。

どれも、太極図の原理を理解すると初めて理解できる不思議な世界です。西洋的な論理的な世界観と異なる脳の世界が論述されています。

自己と他者を区別し、名前を付けるのが学問の世界です。しかし、老子は部分の総和が全体を作るのではない。生命は部分の総和を遙かに超える運動体であると言います。ですから科学的に部分を分析しても生命や宇宙の不思議な世界は理解できないのです。その観点から最近の脳科学という学問の限界も見えてきます。

事実、脳科学者自身が最近、解明したと思っていた脳の世界が、次々と新しい発見により、さらに不可解な脳の世界を拡大させたにしか過ぎないと嘆いています。
それは、講義で述べたように、最先端の宇宙科学が96%を占める理解不能な暗黒物質を発見した時に類似しています。
サムシンググレートに対する畏敬の念を失った哲学の裏付けのない科学的なアプローチは混沌が支配する迷宮の中に迷い込みます。

老子が言うように、自己と他者は深いところで繋がっている相互依存、相対的な存在です。近代において、自己と他者を分ける西洋的な概念は、個人の自由や権利を拡大させました。しかし、2008年、その弊害がサブプライム問題に象徴される西洋的文明を支える自己中心的な存在である人間観を信じたアメリカ文明の崩壊という形で現れたのです。我々は繋がっている。本当はひとつである。そう老子は根源的なつながりの深い世界を「道」と呼びました。仏陀は「空」と呼びました。「有ると言えば、無い。無いと言えば有る世界」「全ての存在は、形のないエネルギー、波動であるが、形のある物質でもある」「観察する行為で確率論でしか、そのどちらかに見えるかは分からない量子論的世界」「人生とは、死にながら、生きている世界」、これらの世界は、論理的な理解を拒絶する世界です。物質界の固定された意識、認識の世界にいる限りは到底、理解不能の世界です。


そこから飛び出して、人生の全てが奇跡的な美しい錯覚の世界であると覚醒すると、違った世界が見えてきます。

解脱する。悟りを開く。覚醒する。全てが空であると体感する。宇宙意識と繋がる。サムシンググレートと一体化する。

厳しい修行でしか得られなかった世界観が、脳科学の勉強を通して、手に入れる可能性があります。

その時、2500年前、ひとりの無名の老子が発見した太極図の世界こそが根源の宇宙真理であると人類が気がつくのは近いと信じます。

それらは太極図の陰陽の渦巻く、陰の陽、陽の陰が交互に繋がる不思議な世界です。

最近の脳科学の著しい進歩は、日本人が開発した機能的磁気共鳴画像fMRI装置の開発によるのです。将来、日本人ハードだけではなく、老荘思想を応用して、脳の不思議な世界をさらに解明すると信じます。
脳科学的な自己とは何かという認識が老子の世界観をより現代人に理解させる手段になると思います。

課題論文としてご提出された論文は皆様の人生観に照らし出された優れた論文ばかりでした。
点数を付けるなら全てが満点だと思います。
脳の世界は、見るもの聞くもの、触るもの全てが各自異なるそうです。そこには比較することの意味は有りません。全てが真実。全てがそのもの。老荘思想を各自が各自の理解出来る範囲で、今後の人生の中で、応用され、生きていく。そこには、点数は有りません。
点数をあえて付けましたが、この点数は、皆様が心に感じられたものを表現された、その表現力に対して付けたものです。そこをご理解くださり、ご容赦をお願いします。
最後に、皆様がいつか、人生において、様々な困難に遭遇された時、迷われ、苦しまれているあなたのそばに老子がそっと現れ、あなたを励まし、慰め、勇気を与えてくれると信じます。

「足るを知る、生きているだけで奇蹟である。健康であるだけでも有り難いことだ」
「無用の用、この世に無駄なものない。失敗したと思えることも、いつかその失敗が役に立つ時があると強く信じて、くよくよといつまでも失敗にとらわれない。前進しよう」


「水の思想。上善は水の如し、水のように常に低いところを求めて流れよう。自分を一番低い所に置き、謙虚に、他者に無償の恵みをあたえて生きよう。水のように自分の魂は再生する。死は生まれた故郷に戻る旅である。死を恐れず、死を求めず。人間に、そして、地球に生まれた、奇蹟とも言える一瞬の短い生を楽しもう」


「道の知恵、偉大な何かが自分の中に存在し、他者とは、深いところで繋がっている。情けは人の為ならず」
「谷の知恵、欠点こそ武器である、オンリーワンである自分に誇りを持ち、他人との比較はよそう」
「人間すべて塞翁が馬、禍福あざなえる縄のごとし。不幸は次の幸福の種になるにちがいない。不幸な状況にとらわれてくよくよしない」

「無為自然の知恵、困難な状況では、じたばたしない。運を天に任せていれば道は開ける。朝の来ない夜はない、どんな豪雨もいつかは止む。じーっと待っていればなんとかなる」
「天網恢々疎にして漏らさず。お天道様だけがすべてを見ている。自分を攻撃したり、自分を不幸に陥れた人を憎むのは止めよう。天が自分の代わりに罰を与えるに違いないことを信じよう。許すことは出来なくても、タダでいただいた心の畑は、いろんな種を育てることができるという。出来れば、恨みの種を育てないようにしよう。自分は天に恥じない人生を送ろう」

そして、庶民の古い知恵、いろは歌留多には、老子の哲学が語り継がれています。たとえば、老子的な日本人の知恵の言葉「負けるが勝ち」「塵もつもれば山となる」「勝って兜の緒を締めよ」「楽あれば苦あり」「急がば回れ」「論より証拠」「長いものにはまかれろ」「油断大敵」「損して得取れ」「破れ鍋に綴じ蓋」「笑う門には福が来る」「一寸の虫にも五分の魂」「花より団子」「老いては子に従え」「犬も歩けば棒に当たる」「縁の下の力持ち」など。日本の庶民はこうして老子の智慧を伝承してきたのです。


「有り難う」という言葉がすべての困難のとてつもなく高い壁を乗り越えるキーワードです。
一日10回以上、自然や自分や人に対しても口に出して言おう。
朝陽に感謝ありがとう。夕陽に感謝ありがとう。
今日無事に生きたことに感謝ありがとう。
朝、目が覚めたら感謝ありがとう。

偉大なサムシンググレート、根源の存在「道」に感謝ありがとう!

それらの言葉の中に、困難に立ち向かうヒントが有ると信じます。
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by masashirou | 2010-05-19 23:21  

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