足跡

信仰心の篤い男が今まさに、あの世に旅たとうとしていた。
男の魂は老衰した肉体を離れ、天空の光の中にいた。
天空から自分の歩んだ人生の道を眺めていた。

男が歩いた人生の道には、二つの足跡が残されていた。
男はもう一つの足跡が神さまの足跡だと即座にわかった。
長い人生のほとんどが男は神さまと共に暮らしたのは間違いなかった。

男はつぶやいた。

「私はいつも神と共に歩いてきた。しかし、人生の道を振り返った時、一番苦しい時にあなたはそばにいなかった。何故なら2人の足跡がズーと続いてきたのに、苦しい時の足跡は私一人の足跡だけだった・・・・・・」

男は輝く光に尋ねた。

「神さまは何故、私が一番そばにいて欲しい時にいなかったのですか?」


光は男に慈愛に溢れた声で答えた。


「その足跡を良く見なさい。そのよろめいたような足跡は私が悲嘆で打ちのめされた汝を背負って歩いた足跡なのだ」

ひとつの足跡は神さまの足跡だった。

男の顔に涙が溢れた。
男の魂はあの世に吸い込まれるように消えていった・・・・・。
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by masashirou | 2010-05-13 21:53  

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