映画「ミッテランコード」日本語脚本その6

62コンコルド広場

ウォンの指揮棒が次第に激しくなる。舞台では「魔笛」が演じられている。

王子タミーノが笛を吹くと、神殿から逃げようとしていたパパゲーノと王女パミーナがその音色を聞きつけやって来る。王女パミーナと王子タミーノは、眼が合った瞬間、深い運命の絆を意識する。そして、深い恋に落ちる。夜の女王は自分の領土を奪った悪魔ザラストロへの復讐の思いを歌う。


63ある会議室

パトリック・ハーバード(35)DSTフランス国土監視局・情報局員。

パトリック「では、この暗号文の一節『それらの姿は、キリストの紋様がパリの空に現れる、聖なる丘からその勇姿を現す』という部分ですが、ロナルド教授、これはどこを意味しているとお考えですか?」
会議室が静まり返る。
ロナルド「聖心が現れる教会、イスラムのモスクの建築様式で作られた白亜の教会です」
アメリー「サクレ・クール寺院?」

ロナルドが深く頷く。


64サクレ・クール寺院の広場 2週間前

飛行機の轟音が聞こえる。
ロナルドが目を開けると東から西に飛行機が飛んでゆく。
ロナルドの手にした携帯からマイケルの声が聴こえる。
マイケル「何が見えます?」
ロナルド「飛行機が飛んでいる」
マイケル「では、もう一度その場所で目を閉じてください」
ロナルド「マイケル君、はっきり言ってくれないか? 私にはもう、時間がない」
マイケル「待つ忍耐を持てる人間になるかどうか、また、何を待つかによって人生の偉大さがきまるいつも教授が言っていたじゃないですか!?」
ロナルド「ことと場合による。いいから教えてくれ!! ……。マイケル君? マイケル!!」
ツーツーツー―――。電話の音
電話が切れている。
ロナルドは顔をしかめると、大きく深呼吸をする。
広場を歩く観光客がロナルドを不思議そうに見つめている。
数分後―――。
ロナルドの時計が、10時32分を指す。
飛行機の音が再び聞こえる。
ロナルドが空を見上げると、飛行機が北から南へ飛んでゆく。
ロナルド「キリストの紋章が空に現れる……」
ロナルドはマイケルに電話をかけようとすると、マイケルが丘の上に現れロナルドに向かって手を振っている。ロナルドは、教会の屋上に登り、3つの建物、モンパルナス・タワー、エッフェル・タワー、新凱旋門のあるラ。ディファンスビル群を見つめる。


65ある会議室

ロナルドがゆっくりと目を開けると、スタンが笑い出す。

スタン「ロナルド教授。そんなフライト計画に誰が許可を出したのです?」
ロナルド「フランス革命200周年記念の日から運行されています。もちろん当時の最高権力者であるミッテラン大統領が許可しました。これが当時の命令書のコピーです」
ロナルド教授は力を込めて話す。
ロナルド「そうです。マイケル助手がパリ上空で雲が消滅する五分以内に東西と南北に交差するジェット旅客機のコンピュータ・シュミレーションを解析して見つけました。フランス航空のAF234便ウィーン行きの発着が十時二十分、同じAF33便ニース行きの発着が十時三十分、東の空に向かう飛行機と、南に向かう飛行機が創るジェット雲が、このサクレ・クール教会上空で交差する時間が十時三十五分。この写真が、サクレ・クール教会で撮影された写真です。

飛行機が交差する映像のオーバーラップ
教会から見えるモンパルナス・タワー、エッフェル塔、ラ・デファンスの高層ビル群が地平線に大きな形を誇示する映像のオーバーラップ

ロナルド「聖なる丘とは、この教会が建つモンマルトルの丘です。歌と踊りの殿堂ムーランルージュのネオンが輝くこの丘こそ、暗号文の『美と歌の神である女神ダヌーが舞い降り、啓示を与える場所』なのです。この丘からパリ市内を見ると、左からモンパルナス・タワー、エッフェル塔、ラ・デファンスの高層ビル群が地平線に大きな形を誇示しています。つまり犯人はこれらの構造物の関係に何らかの秘密を込めたはずです……」
 会場は静まり返った。ロナルド教授は話を続けた。
ロナルド「それに……、犯人は今回の事件は、象徴的事件にしたいという強い願望があります。ですから最も有名な塔と門を選ぶはずです。この二百年の間に、パリで旧市街地の高度規制が除外され、建設された高い塔が二つ、そして観光客がコンコルド広場で必ず目にする有名な塔……」
スタン「エッフェル塔とモンパルナス・タワー、それにコンコルド広場のオベリスク……」
スタンが大声を出した。
ロナルド「そう、その通りです。マリー・アントワネットとルイ16世が処刑されたコンコルド広場のオベリスクの場所こそがギロチン台の場所なのです。」
スタン「では門といえば、それは、カルーゼル凱旋門、エトワールの凱旋門と、新凱旋門グラン・ダルシュということになりますか?」
スタンが得意そうに発言する。

ロナルドは、ミッテラン大統領の命令で、フランス革命200周年記念の式典で上空に祝福の白い十字架を描く為の極秘飛行実験が行われたことを示す文書とロナルドが撮影した白い十字架雲の写真、教会の屋上から見える3つの建物の写真を全員に示す。

不機嫌そうにバルマンが写真を見つめる。

バルマン「教授。申し訳ないが、もしそうだとしても、偶然の一致だと思いますが・・・。では、各自持ち場に戻ってくれ」
幹部たちは騒がしく部屋を出てゆく。
部屋にはロナルドとペレとアメリーが残る。
アメリー「私は教授を信じています」
ロナルド「ありがとう……」
バルマンがロナルドに目を合わさずにメアリーに挨拶をする。
会議室を出た時、ペレ長官がバルマンを引き止める。
ペレ長官はロナルドに聞こえないように小声でバルマン警部に言う。
ペレ「バルマン警部、私もこの21世紀の現代でも、幽霊を信じるオカルト好きな英国人は嫌いだが、会議の場では、少しはロナルド教授に敬意を払うようにしてくれ・・・」
バルマン「はっ。そのようにしているつもりですが」
ペレ「大統領から一刻でも早い解決をと言われているのでな・・・」
バルマン「かしこまりました」
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by masashirou | 2009-12-10 09:43  

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