映画「ミッテランコード」日本語脚本

 劇場版
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映画「ミッテランコード」





脚本      内田 英介


























登場人物
ロナルド・ウィリス(51)
オクスフォード大学超心理学教授

アメリー・コーツ(34)
DCRG(フランス総合情報中央局)に勤務する女性警部。

リー・ウォン(27)
天才ピアニスト・指揮者

マリー・アレン(25)
ソプラノ歌手

マイケル・モーゲン(33)
ロナルド教授の助手

フランシナ・フェイル(30)
製薬会社ゲッペル社の参謀

クロード・バルマン(42)
DST(フランス国土監視局)作戦局の隊長

トミー・ベッソン(36)
DST(フランス国土監視局)作戦局 バルマンの部下

ヘンリー・エヴァンス(26)
DST(フランス国土監視局)作戦局 看護士になりすます。

パトリック・ハーバード(35)
DST(フランス国土監視局)情報局

ダニー・ベルトラミ(27)
DST(フランス国土監視局)戦略局

ペレ・クロード(58)
DGPN(フランス国家警察総局)長官
スタン・ハーマン(36)
フランス共和国保安機動部隊 隊長

トニー巡査(32)
フランス共和国保安機動部隊 隊員

アンソニー巡査(25)
フランス共和国保安機動部隊 隊員

ウィリアム・スミス(49)
ロンドン警察本部長

ラルフ・ウィリス(46)
特殊部門S019 テロ対策課

ジョン・スコット(29)
特殊部門S019 テロ対策課

モーツアルト(当時6)
天才と称されたピアノと指揮者。

マリー・アントワネット(当時7・当時37)

ロザリー(当時25)
マリー・アントワネットの待女

死刑執行人サンソン
4代続くマリー・アントワネットの死刑執行人

マダム・タッソー(当時32)
蝋で解剖模型を作る技術を学ぶ

フランソワ・ミッテラン大統領(当時66)
フランス共和国大統領

デュマ外相(当時57)
ミッテラン大統領側近

謎のアラブの王子(36歳)

ソフィア・ロドリコ(スペインの女性彫刻家)(45歳)

アラブの男・サイート(化学者、ウィルスNERO666を開発者)(45歳)

ロナルドの祖父(85歳)

幼い時代のロナルド(5歳、15歳)

























○漆黒の闇

無数の小さな光が漆黒の闇に集まってくる。
眩い光で埋め尽くされる。
しばらくすると、太陽のマグマの断面から、黄金の双頭の鷲が浮かび上がる。
鷲は太陽を抜け銀河系を光速で飛んでゆく。
バラバラに見えた恒星が、一定の法則によって並んでいるのが分かる。
太極図である。
鷲が太極図を突き抜ける。
恒星はまたバラバラになり、次第に文字へと変化する。

タイトル『4M』


○ タイトル

文字が画面に現れる。
『この世は全て陰と陽の原理で出来ている。
この世に存在するものは、全て無駄なものはない。老子』


○パリ市内のアパート
窓からエッフェル塔とセーヌ河が見える。
携帯電話が鳴っている。非通知の文字が携帯電話の画面に表示されている。
トゥルル、トゥルル・・・電話の音
女性が携帯電話を見る。女性は眉間にしわを寄せ電話をとる。
女性「もしもし……」
電話から電子音に加工された声が聞こえてくる。
電話「12、4、2,3。パリに歓喜が満ちる日、三人の男と、三人の女と交わる時、大いなる神聖なる器、聖なる竈がパリに描かれるであろう」
女性「もしもし……」
女性は電話を切る。
女性は振り返る。何者かが女性の後ろに立っている。
女性は恐怖で後ずさりする。何者か女性の顔に小さなスプレー缶で液体を吹きかける。
電子敵音声「マリー・アントワネットの呪い。12,4,2,3」

○港が見えるドバイのホテル
二〇〇七年五月—
 パリのエッフェル塔よりも高いという宣伝文句で紹介される、アラビア湾に突き出た巨大な船の帆の形をした世界最上級の七つ星ホテル。高さ三二一メートル、全室スイートの超豪華なつくり。グラスファイバーで造られた帆の壁は、毎晩内側から七色にライトアップされて、暗闇に包まれるアラビア湾に帆船の姿を映し出す。
 砂漠に誕生した“眠らない都市”ドバイが誇る「バージ・アル・アラブホテル」の二十階、2006号。

男が飛んでくる双頭の鷲をホテルの窓からが見ている。
鷲は古びたビルの屋上にとまると、翼を広げ部屋の中を覗く。
広く贅沢を尽くした部屋には大型テレビがある。CNNのニュースが流れる。
髭をたくわえたアラブの男が窓からドバイの景色を見下ろしている。
男性アナウンサーがニュースを伝える。
男はニュースの声に反応する。男はソファに座る。男はテレビの音声のボリュームを上げる。

アナウンサーの声「フランスに、アメリカの市場原理主義導入を政治スローガンに掲げた、
新しい大統領が今誕生しました。これより、欧州でアメリカに対抗する中東戦略を進めてきたフランスの大きな変化が……」

男の眼差しが緩む。
男は黄金のテーブルから携帯電話を取り、電話をかける。
窓の外の双頭の鷲が、羽を大きく広げ羽ばたく。
男は立ち上がる。男は夕焼けに染まるビルを見つめながら話す。

アラブの男「全てがうまくいった。ありがとう。支払いはあなたのジュネーブの口座に振り込まれている……」

青い海に浮かぶ椰子の木の形をした、白い砂で覆われた人工島の上に、世界最高の高さを誇るビルが見える。地上一〇〇〇メートルの高層ビルが、雲一つない青い空にそびえている。アラビア湾に沈む夕陽が、ビルの最上階のヘリポートのガラスに反射して、男の漆黒の闇の輝きを持つ瞳を明るく照らした。



○ドバイの高級ホテルの部屋

薄暗い部屋で、3人のパリ市警 DST(フランス国土監視局)作戦局たちが盗聴作業をしている。
クロード・バルマン(42)トミー・ベッソン(36)パトリック・ハーバード(35)である。パトリックがヘッドフォンで電話の会話を盗聴している。
パソコンのモニターに『逆探知検索中…25%』の数値があがっていく。
ベッソン「国際電話です」
バルマンは喋るなと口に人差し指をあてる。
バルマン「奴だ。奴が喋るぞ……」
緊張する3人の顔のアップ。
ツーツーツー―――機械音
パソコンモニター『逆探知検索中95%……検索中…検索中』
バルマン「くそっ!! 逆探知は?」
パトリック「駄目です。」


○港が見えるドバイのホテル

アラブの男はニンマリと笑う。
双頭の鷲が窓際を物凄いスピードで男を横切る。
男の顔が一瞬陰になり、夕焼けの光が男の瞳を照らし真っ白な光になる。
呼び鈴の音が聞こえてくる。
リン、リンリン――鈴の音


○牢獄

マリー・アントワネットが呼び鈴を鳴らしている。
その隣に彼女の一人息子が膝を抱えて座っている。
扉が開くと、侍女のロザリーが足早に入ってくる。

教会の鐘の音がこだまする。
カンカンカン―鐘の音。
民衆の叫び声が遠くから聞こえてくる。
「うぉおおおおおお~」群衆の叫び声

ロザリーは恐怖に怯えながら、胸で十字を切り神に祈る。
マリー・アントワネットはロザリーの手を掴む。
マリー・アントワネット「この呼び鈴は貴女に、この真鍮の笛を、義姉のエリザベートに渡してください」
ロザリー「(震えながら)ありがとうございます。いつか、王妃様の復讐を誓います」
マリー・アントワネット「いいえ。私は王が残した言葉に従います。ロザリー。あなたも、フランス国民を許すのです」

ガタンッ―――ドアが開く音
鉄の扉が開くとマリー・アントワネットを照らす。
子供がマリー・アントワネットに抱きつく。
マリー・アントワネットは必死に涙をこらえる、気丈に振舞う。


○中世のコンコルド広場

広場を埋め尽くす民衆の先に秘密結社フリーメイソンのロゴが入ったギロチンが見える。
気だるそうに話す男たちの向こうに少年が一人座っている。
男1「そんなこと信じちゃいないねぇ。魔よけだと!? 笑わせるよ」
男2「じゃなんで、お前はここに来たのだ?」
男1「俺は死体に群がる馬鹿どもから頂くのさ」
男1は男2のポケットからコインをする。
男2「へっへっへ。そうか? 俺は魔女の断頭台から滴り落ちる血をぬぐって、魔よけをその場で売っちまうのさ。ブタの血がついたハンカチーフ高く売れるぜ」
男2はすでに血がついたハンカチを男1に渡すとすられたコインを取り返す。
少年はそのハンカチを見ると急に立ち上がり、花屋のバラを一本盗み走り出すと花屋に向けてコインを投げる。
コインは花屋の前で回転しながら地面に倒れる。
コインには『寛容』と記されている。

興奮した馬をギロチン台へ引きずるよう引っ張っている兵士。
罵倒を浴びせ腐ったトマトや唾を吐きかける民衆。
その中を駆け抜ける少年。
民衆「フランスを生贄にした魔女!!! 罪を償え!」
人ごみを必死で掻き分け進んでいくと兵士の護衛を見て息を飲む少年。
少年はバラの花を肥樋に投げ込むとひらひら舞い上がったバラの花が肥樋に入る。
肥桶の覆面をかぶった罪人がバラを掴む。


断頭台に立った罪人は髪を短く切られ拘留中に白髪になったマリー・アントワネットである。
断頭台の先に死刑執行人のサンソンが立っている。
サンソンはマリー・アントワネットの覆面を剥がす。
一気に広場の狂喜に満ちた罵声が掛け声となり広場にこだまする。
民衆「死刑!! 死刑!! 死刑!! マリー・アントワネットに天罰を!!」
マリー・アントワネットは毅然とした目を向け、処刑執行人サンソンの耳元で囁く。
マリー・アントワネット「あなたたちを許します……さぁ、私を殺しなさい……」
サンソンは恐怖でマリー・アントワネットを見ることが出来ない。
教会法王がサンソンに訪ねる。
法王「彼女は何と言った?」
サンソン「あっ、その……。私たちを許すと・・・・・」
サンソンは、一瞬目を伏せ準備を整える。
広場はしんと静まり返る。
ギロチンの刃が落下するとマリー・アントワネットの首が空中を舞う。
民衆「フランス万歳! 自由万歳! 人民万歳! 革命万歳!」
生首のマリー・アントワネットが瞬きをすると広場は静まりかえる。
民衆「まだ生きているぞ!! マリー・アントワネットは本当に魔女だ」

民衆は奇声を上げて逃げまどう。
胴体部分のマリー・アントワネットの身体が崩れ落ちる。
すると、双頭の鷲が空から現れて、彼女の上に降り立つ。
逃げ惑う民衆のなかの男2が大声で叫ぶ、
男2「今だ!! 魔よけを手に入れろ!!」

数名の民衆が胴体に駆けつけると、双頭の鷲はゆっくり羽ばたき空に消えてゆく。
逃げ惑う民衆と断頭台に群がる民衆がみえる。
そこに、一瞬の隙を狙った女性がマリー・アントワネットの首を抱え走り去ってゆく。
デスマスクの第一人者・マダム・タッソーである。
そして、そのタッソーを追うように双頭の鷲が追いかけてゆく。


○マリー・アントワネットが埋められた墓地

タッソーと三人の白い頭巾をかぶった男たちが木製のスコップで土を掘り返している。
灯りが偶然まだ新しいモーツアルトの文字を一瞬照らす。
そして、タッソーは命令する。
タッソー「確かにここに埋葬されたはず……。まだ、土が固まっていないから、早く掘り起こして……」
男たちが大木の下を掘っていると、スコップが鈍い音をたてる。
ドブッ―――スコップの音
土の中から白い指が見える。
男のスコップが震える。
タッソーは男の肩に優しく手を乗せると耳元で囁く。
タッソー「ゆっくり」
首なしのマリー・アントワネットの遺体が現れる。
男の一人が口笛を吹くと、二頭の馬が馬車を引き音もなく近寄ってくる。
明かりが、馬車の扉に描かれた『双頭の鷲』の紋章を照らす。
馬車から、マントで身を隠した男が、シーツに包まれた女の死体を抱きかかえ降りて来る。
そして、三人の男たちの前に横たえる。
男たちは無言で、その死体の首を鋭いナイフで切り取る。
バサッバサッ―――首を切る音
タッソーはあたりを見渡す。
タッソー「早く……」

男たちは女の遺体を墓に埋めると、マリー・アントワネットを赤い絨毯に包み馬車に運ぶ。

馬車のきしむ音が聞こえる。
白い布で包まれた首が馬車から放り投げられる。


○パリ郊外の死体解剖室

薄暗い部屋。
タッソーと一人の白い頭巾で顔を隠した男が、マリー・アントワネットが横たわった木製のベッドのそばに立っている。
一人の男がナイフを磨き、もう一人は銀の壺を箱から出している。
室内を不安定な蝋燭の光が照らす。壁に揺らぐ作業する男たちの影。

―――作りかけの蝋人形。
―――ギロチンの刃
―――人間の髪

一人の男がナイフをタッソーに手渡すとタッソーは無言のまま、マリー・アントワネットの腹部に突き刺し心臓を取り出す。
手際よく男が銀の壺の蓋を開ける。
銀の壺には双頭の鷲の紋章が刻まれている。
タッソーは心臓を持ち上げると祈りを捧げて壺に入れる。

タッソー「これをオーストリアに届けてください。そして、マリー・アントワネット王女がこのパリに嫁がれる時に建設された、記念の石碑の中に埋葬してくださるように、エリザベート王女様にお願いしてください」
タッソーは壺を男に渡すと、
タッソー「これがマリー・アントワネット王女様の遺言です。魂は故郷オーストリアに戻りますと……」
タッソーは手際よく蝋人形を作る作業をしながら、男に壺を渡す。


○オーストリア マリア・テレジアの宮殿

銀の壺を運ぶ馬車が走りすぎる。
双頭の鷲が上空を飛んでくると、奇妙な搭の上(マリー・アントワネットが嫁いだ時に建てられた記念碑)に舞い降りる。
すると突然、雷鳴がとどろき鷲は石の彫像になり、塔と岩に挟まれた石の魔竜の目が開く。


時は現代に戻る。

にわかに空が黒雲に覆われ、雷鳴が轟くと奇妙なモニュメントが古びていく。
(時間経過を表現する)


○現代 オーストリア ゲッペル社 

ゲッペル社のロゴマークが入った『フェンゼルコンサートホール』の看板。


○コンサートホール

ゲッペル社から集まった関係者がリー・ウォン(27)の演奏を座って聴いている。
その中に、ソプラノ歌手・マリー・アレン(25)とゲッペル社・フランシナ・フェイル(30)がいる。
演奏が終わると全員立ち上って、ウォンに拍手を送る。
マリーがスカートの裾を踏み、転ぶ。ウォンはマリーの手をとる。
ウォン「(笑いながら)一緒に踊りますか?」
マリー「後ほど(驚いて笑う)」
咳払いをしてゲッペル社、会長。
会長「モーツァルト生誕二五〇周年を記念して、韓国の天才ピアニスト、そして天才指揮者、リー・ウォン君のコンサートツアーがヨーロッパ全土で開催されます。今宵の演奏と、ゲッペル社の栄光に拍手を!!」


○不思議なモニュメントの前の広場―――ウィーン

モニュメントの前にいるマリー。
そこに、フランシナとルーシーを名乗る(実は警部・アメリー)が後ろからやってくる。

フランシナ「不気味ね……」
ルーシー「ここには、あのマリー・アントワネットの心臓が眠っているそうよ」

気を失い(共鳴現象)倒れそうになるマリー。
ルーシー「冗談よ」
フランシナ「マリー! 大丈夫!?」
マリー「ええ。ちょっと眩暈がしただけ、大丈夫ですよ。戻りましょう」
宮殿に向かってゆっくりと歩き出す。


9宮殿近くの小道

マリーたちはが、ウォンとすれ違う。
ウォンはマリーに気づき立ち止まる。
マリーは恥らいながら、会釈し宮殿へ向かう。
ウォンが振り返り。
ウォン「先日は……」
ウォンは誰もいないことに気づく。
ウォンは言葉に詰まる。
ウォンはモニュメントに向かって歩いてゆく。


10不思議なモニュメント前

ウォンはモニュメントの上にある双頭の鷲を見る。
女性(アメリー)の影がウォンを横切る。
ウォン「……」
ウォンの脳裏に映像が浮かぶ。
シュテファン寺院の螺旋階段の光景――
三四三段の階段の頂上から転げ落ちる自分――
ウォンの額から汗が滴り、身体は恐怖で硬直している。
青空に突然の雷鳴が轟くと、双頭の鷲の石像が大きく羽を拡げる。
ドクンッ、ドクンッ―――心臓の鼓動
モニュメントから心臓の音に共振する。
ウォンは目を開ける。ウォンは醜く歪む魔界の王の中に銀の壺が見える。
ウォンの目の前が真っ白になる。
少年時代、モーツァルト(6)と少女時代、マリー・アントワネット(7)が姿を現す。


○オーストリア宮殿

皇帝たちと、マリー・アントワネットが座ってピアノを鑑賞している。
そこに、モーツアルト、目隠しをしたままピアノを弾いている。
マリー・アントワネット「すごい」
モーツアルト、演奏が終わり目隠しを外す。
マリー・アントワネットが立ち上がる。
マリー・アントワネットは躓いて倒れる。
モーツアルト「僕のお嫁さんにならないかい?」
倒れた、マリー・アントワネットを抱える。
マリー・アントワネット「私がモーツァルトのお嫁さん?」
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by masashirou | 2009-12-10 09:37  

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